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「遺伝子操作食物 大丈夫?」というテーマでお話しました

  • kotosyoku
  • 2021年7月29日
  • 読了時間: 11分

更新日:2021年7月30日

2021年7月24日(土)

メンバーのOさんが、川口市の戸塚公民館で学習会の講師に呼ばれて「遺伝子操 作食物 大丈夫?」というテーマでお話しました。



専門家ではない立場で話をすることに初めは躊躇しました。でも「あなたの言葉で話して」と言われ、”わからない感覚がわかる立場”として 伝えることもできるかと思って受けました。 話の内容や話し方など、コトショクメンバーにZoomで聴いてもらったりしながら資料を修正していきました。 当日は、女性ばかり20名程の参加でした。以前の自分を思い浮かべて、なるべく平易に話すことに努めました。 「安全なものを食べたいとは思うけど、何が危険かよくわからない。遺伝子組み 換えは漠然と怖いと思う」という方が多かったように思います。 主催の方が「種苗への遺伝子操作の表示を求める署名」を理解するためにも、こ の場を作りたかったとお話ししていました。 少しでもお役に立てたなら嬉しく思います。

資料①:レジュメ 


◆1【遺伝子組み換えとゲノム編集】



遺伝子組み換え・・・他の生物の遺伝子を入れる技術

ゲノム編集・・・・・特定の遺伝子の働きを狙って切る(壊す)技術

どちらも遺伝子を操作している


欧州ではゲノム編集は遺伝子組換えと同じと考える  

2018年に欧州司法裁判所が判断をくだした

アメリカ、日本は、ゲノム編集は遺伝子組換えではないと考える(外から遺伝子は入れていないから)

RNA干渉法・・・ゲノム編集よりも容易に遺伝子の働きを壊すことができる技術

遺伝子組換え

GM(遺伝子組み換え)=Genetical Modification

GMO(遺伝子組み換え作物)=Genetical Modified Organizum

Non-GMO(遺伝子組み換えでない作物)

*1996年、アメリカで大豆とトウモロコシに対して始められた。品種改良に比べて、大幅に時間が短縮できる。

殺虫毒素を作る遺伝子やある除草剤※に耐性をもつ遺伝子を作物に入れる(遺伝子組み換え) 

・殺虫効果 → 害虫も益虫も作物を食べると死ぬ → 作物は元気

・除草効果 → 周りの草だけが枯れる      → 作物は元気    ⇒大量収穫 

※除草剤ラウンドアップ…グリホサートが主成分 米モンサント(枯葉剤を開発した会社)が開発             

*遺伝子組み換えの大豆とトウモロコシを除草剤とセットで売れば、大量生産が可能 → アグリビジネスへ

*グローバル(global:世界的な)アグリ(aguriculture:農業)バイオ(biotechnology:生物工学)企業

・戦時中、毒ガスや爆弾を作っていた化学企業が、戦後、その技術を農薬に活かし、農業分野に進出した。

・大手の4社(バイエル、ダウ・デュポン、中国加工集団、BASF)で世界のタネの約7割を独占している。

・米国のモンサントは、2018年に独のバイエルに買収さた直後からモンサント裁判※で敗訴が続いている。

※モンサント裁判…アメリカで長年ラウンドアップの散布の仕事をしていた男性が癌になった。

モンサントは発がん性があることを知っていたのに隠していた。日本では報道少 

*遺伝子組み換えの主な生産国は、米国、カナダ、ブラジル、アルゼンチン。

*日本では遺伝子組み換え作物は栽培はされていないが、加工食品の原料や家畜の飼料として大量に輸入。

ゲノム編集

ゲノム(独:Genomeゲノム、英:genomeジーノーム)=遺伝子情報の総称

遺伝子(独:Genゲーン、英:geneジーン)と染色体(chromosome)を合成した言葉

ゲノム編集=Genome Editing ゲノム編集食品=Genome-edited food、genetically modified foods

欧州では、遺伝子組み換え作物をOld GMO, ゲノム編集作物のことをNew GMOと呼んでいる。

*遺伝子組み換えに比べ、改良にかかる時間、費用、技術が格段に効率よくなった。開発が進んでいる。

*「切る」…主にCRISPER/Cas9(クリスパーキャスナイン)というものを細胞内に入れてDNAを切る仕組み

実際にはハサミできれいに切るというより、手榴弾で破壊するイメージ 「編集」と言える? 

例)筋肉の発達を抑制する遺伝子を破壊すると、筋肉が発達する → マッチョ豚、肉厚のマダイなど

逆に発達させる遺伝子を破壊して → ペット用のマイクロ豚が販売されている。   


資料①ー2

他には、切り口が変色しないマッシュルーム、芽に毒のないじゃがいも、収穫量を増やしたイネなど

*今、おおっぴらに栽培・流通しているのは、大豆(米国の高オレイン酸大豆:カリクスト社)だけ。

*それに続いて、日本で、ゲノム編集トマトの栽培・流通が始まろうとしている。

*高GABA(ギャバ)トマト「シシリアンルージュハイギャバ」・・・血圧を下げる効果があるとされる。

筑波大学江面教授が開発 販売はサナテックシード社(2018年4月設立、つくば大学発のベンチャー企業)   

2020年12月に、国に承認され栽培や販売が可能になった。2021年5月に応募者への配布済。

親会社のパイオニアエコサイエンス社(2000年1月設立)は、このトマトでピューレの販売を行うと発表

「サナテックシード社は苗の配布と並行し、モニターの興味や関心を参考にしながらシシリアンルージュハイギャバの一般流通の準備を始めます。まずはピューレの販売から始める予定です。・・・・

青果物としての販売は当分、家庭菜園用の苗にとどめ、2021年冬から加工食品として一般への販売を開始する予定です。 加工品は全て契約栽培したトマトを使い、オンラインで販売します。契約農家に対しては、サナテックシード社の関連企業・パイオニアエコサイエンス社を通じた生産支援を行います。農地の土壌や水質、 トマトの樹体の成分を分析し、適切な施肥管理を提案します。 ・・・ 社会への透明性の確保と信頼性の向上を図っていきます。」(2021.4.23 サナテックシード社からのお知らせより、____はOが加筆)

グローバル・アグリ・バイオ企業は、規制強化の進む遺伝子組み換えには見切りをつけ、ゲノム編集やRNA干渉法にまい進 → 安全性より利潤追求? →「種を制するものは世界を制する」→ 種はだれのもの?

日本も以下の変化で、民間企業(含、外国企業)が参入しやすくなった。アメリカ・多国籍企業からの圧力? 2017年 農業競争力強化支援法が施行…国の農研機構と地方自治体が開発した農作物の情報を民間企業に提供する

2018年 主要農作物種子法を廃止…コメやムギなどの新品種開発の主体が自治体から民間企業に

2020年 種苗法の改定…登録品種の自家採種の禁止、罰則の強化で、民間企業の知的財産権を強化

◆2【安全性は?】

遺伝子組み換え+農薬(殺虫剤、除草剤)

*国の安全性審査では、「危険」と証明はされていないが、「安全」とも断定できない。→予防原則の大切さ

*作物についた農薬は皮をむいても洗っても落ちない。中に浸透。それを食べると体内に残る。→★ 

*生命の大切なバランスや調節機能を奪って、予期しない病気が起きるかも。多くの悪影響が出ている。→★

*グリホサートの発がん性は、2015年に、国際がん研究機関が5段階のうちの2番目と認定した。

(1:発がん性がある 2A:おそらくある 2B:可能性がある 3:分類できない 4:ない) 

 日本では商品名を変えてホームセンターなどで販売。テレビCMも。公園、学校、駐車場などで散布している。

*アメリカとカナダの小麦は、遺伝子は組み換えではないが、収穫前にラウンドアップを散布して乾燥させる

 米国産輸入小麦の約9割、カナダ産のほぼ全てから、グリホサートが検出された。 

*ヨーロッパではグリホサート系農薬の禁止や規制を強める方向に。日本は逆に規制が大幅に緩くなった。

 日本の給食のパンからも検出。国会議員ら28人の毛質検査で、19人からグリホサートの残留が認められた。

★GM食品、農薬が引き起こすと考えられる健康被害(大人より子どもへの影響が大きい)

ヒトへの影響……ムカつく・キレる症状、発がん性、腸に穴があくリーキーガット、喘息、アトピー、

アレルギー、発達障害(注意欠陥多動性障害=ADHD、自閉症、学習障害等)、うつ、不妊など…

家畜への影響……腸を壊す、生殖機能低下、呼吸器官を患い肺炎に

地球への影響……土壌細菌を死滅させる → 土壌の劣化、生物多様性の喪失、気候変動など


*** ヒトと腸内細菌の関係は、地球と土壌細菌の関係に似ている ***

ゲノム編集 資料①ー3

*狙った遺伝子を正確に壊す ⇔ 配列が似ている遺伝子を破壊する可能性あり(オフターゲット)

*遺伝子が壊れる現象は自然界の突然変異と同じ ⇔ 突然変異とは全く違う 

*カリフォルニア州のメンドシーノ郡では、遺伝子組み換え栽培禁止条令を「ゲノム編集」まで拡大した

*日本でも、今治市が市レベルで遺伝子組み換え禁止条令を作った。「ゲノム編集」までも拡大するかも

*ゲノム編集食品に戸惑うメーカー →資料②

*アメリカではママたちの運動が広がって、スーパーで売られる約半数はNON-GMOオーガニック製品に

Moms Across America → Moms Across Japanもできた 


世界の潮流は完全にNON-GMO(非遺伝子組み換え作物)、オーガニック(有機)へ

日本は遺伝子組み換え作物の世界一輸入国

◆3【表示の問題】   

遺伝子組み換え食品・・・「遺伝子組み換え食品表示制度」があるが、極めて不十分な表示義務

*遺伝子組み換えトウモロコシの義務表示は2品目だけ<菓子・スナック、コーンスターチ(でんぷん)>

*遺伝子組み換え大豆の義務表示は8品目<みそ、豆腐、納豆、凍豆腐、きなこ、煮豆、豆乳、湯葉>

これらの食品には、「遺伝子組み換えでない」という表示がついているものが多い。

*加工食品の原料や家畜の飼料に使われた場合は、もともと表示がされないのでわからない。

・トウモロコシ・・・果糖ブドウ糖液糖(清涼飲料)、水あめ、コーンスターチ、甘味料、医療用品など 

・大豆・・・醤油、サラダ油、マヨネーズ、アイスクリーム、乳化剤、マーガリン、石けんなと

・家畜の飼料…肉や卵、牛乳などの畜産製品として口に入る     

「国内製造」という表示に注意


*遺伝子組み換えのタネ(種苗)には表示義務がない。

<2023年4月から改変の動き>・・・混流率0%しか「遺伝子組み換えでない」と表示できなくする。

今は、混流率5%以下なら「遺伝子組み換えでない」と表示可  0%はあり得ない

「混流1%未満」というマークを! 「OKシードマーク」という自主的表示もできた(めだかの学校)

ゲノム編集食品・・・現在は食品にも種苗にも表示義務なし

<消費者庁の立場>・・・ゲノム編集は安全という立場

科学的検証をする技術がない  義務表示は難しい  事前相談をしている(非公開)

厚労省に届け出があった食品には表示するように呼びかけている   必要なら見直しを検討

(サナテックシード社は、シシリアンルージュハイギャバに「ゲノム編集」の表示をする意向)


<表示を求める動き>

検査はできる 開発した側が、どこのDNAを壊したか情報開示、または全ゲノムの情報を開示すればいい。

生活協同組合、パルシステムのように頑張ってきたところや、真面目に食品を作っている業者を守るべき 


食品表示は、生産者、事業者、消費者の、知る権利、選ぶ権利を守るもの

「遺伝子操作」という枠組みで、種苗に新たな表示を


有機JASマークの表示について

*遺伝子組み換え作物については、国際規格に基づいて、有機JASの表示は認めていない。

*ゲノム編集作物については、2020年1月、日本農林規格(JAS)の改正案で、有機JASの表示は禁止になった。*しかし現在は、ゲノム編集の種子を有機認証(有機JAS表示)しようとしている!?  何故??


◆4【その他、気をつけておきたい流れ】                         資料①ー4

ローカルフード法案>

臨時国会に間にあうように準備中  多様性を盛り込んだものに(ITPGR:生物多様性条約が元にある)

地域に予算をつける  地方自治体の条例も作る  全国的に学校給食の地産地消・有機農産物をという動き  

(川田龍平、鈴木宣弘、印やく智哉、堤美果、水上(弁護士)で昨年より準備中)


<国が目指す有機農業とは?>

2050年までに有機農業用の農地を100万ヘクタール(全体の25%)に増やすという、農水省の農業戦略

今はまだ全体の0.5% IT化、ドローンを使って投資家がコントロールする農業? 大規模・企業化? <食べものが危ない!> 資料②雑誌「消費者リポート」から

<食べものが危ない!> 資料③(202年コトショク作成・フローチャート)

<私たちにできること> 資料④ 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」と日本消費者連盟が発行したリーフレット「ゲノム操作食品」から

<署名の文章を再度読んでみよう> 資料⑤

 「食の安全・安心を創る議員連盟」(会長:篠原孝衆院議員)で議員立法を目指す 


※スライドすると他の資料も見られます



コトショクメンバーの言葉から

   

<約35億年前に誕生した地球上の生命>


様々な生物種が、生き延びる必然の中で獲得してきた遺伝子

それをたかだか30年ほどの技術で

人為的に組み換えたり壊したりしていいのか

生命は互いに関わりあって、生命体の全体像をつくっている

互いの関わり合い、生命の循環の中に、今、私はいる


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


<参考にしたもの>


書籍:

『売り渡される食の安全』(山田正彦/角川親書/2019年)

『地球を脅かす化学物質』(木村-黒田純子/海鳴社/2018年)

『タネと内臓』(吉田太郎/築地書館/2018年)

『食べものが劣化する日本』(安田節子/食べもの通信社/2019年)

『新しい遺伝子組み換え ゲノム編集食品の真実』

(天笠啓祐/2021年6月30日/遺伝子組換え食品いらない!キャンペーン、日本消費者連盟)


雑誌・新聞:

「消費者リポート 1641号」(日本消費者連盟/2021年1月)

「食べもの通信」他 長周新聞など 


パンフレット:

「遺伝子組換え食品」「ゲノム操作食品」「除草剤グリホサート」など(日本消費者連盟)


動画:

「種苗への遺伝子操作の表示を求める署名記者会見(2021.3.1)」

日本の食と地域農業を救う在来種保全・活用法案、〈ローカルフード法〉(2021.6.10)」

「食品表示について市民の声を聞く院内+オンライン集会(20216.15)」


映画:

「食の安全を守る人々」(2021年/監督:原村政樹) 「タネは誰のもの」(2020年/監督:原村政樹)   

「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」(2018年/アメリカ)

「遺伝子組み換えルーレット 私たちの生命のギャンブル」(2012年/アメリカ) 

「未来の食卓」(2008年/フランス)


その他:

印鑰(いんやく)智哉、鈴木宣弘、天笠啓祐さんのSNS発信

「日本の種子を守る会」のパンフ等



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